今回は、看護学生さん・鍼灸学生さんの多くが苦手とする解剖生理学・病理学への苦手意識を無くせるようなオススメの書籍やアニメを紹介したいと思います。
ですが結論から言いますが、今回紹介するものを見たとしても、解剖生理や病理がものすごく理解できるという訳ではありません。
けれど、僕が解剖生理や病理を勉強する上で重要なのは「苦手意識をなくすこと」だと思っているので、今回紹介するものを見て、
「解剖生理、面白いかも、、」
「病理、やってみようかな」
そう思ってもらえるような本気でおすすめできる教材を、解剖生理学・病理学の授業を持っていた元教員目線で激選しました!
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解剖生理学・病理学に苦手意識を持つ理由

どっちも苦手だよ・・・

そういう学生さんは本当に多かったけど、
みんな共通した特徴があったよ。
イメージしづらい
解剖生理学・病理学両方に言えるのが、「実際どうなってるの?」っていうイメージが湧きづらいことです。
「心臓」「肝臓」「○○筋」などの大きな構造は分かりやすくても、「心内膜」「肝細胞索」「筋小胞体」というミクロな構造になると途端にイメージしにくくなっちゃうんですよね。
病理学も、「○○変性」とか言われても「ハァ?」って感じです、わかります。
教員ですらそう思うので、生徒さんに理解しろというのも無理な話です 笑
覚える数が多い
これは解剖生理を勉強する人にとっての宿命ですよね。
覚えても覚えても終わらない単語の羅列。
筋肉ひとつとっても、「筋肉名」「構造」「起始・停止」「走行」「作用」「支配神経」。。。

無理、コワイ、キモイ、、、、

バグってる、、、
単純に覚えることが多すぎてこれも苦手意識を持っちゃうパターンです。
重要なのは「苦手意識」
イメージできない、覚えることが多すぎる。
これが皆さんが苦手意識を持つ原因だと思います。
ただ、ここで声を大にして言いたいのが、
解剖生理も病理も、めっちゃ面白いんやで
ってことです。
確かにイメージしづらい、覚えきれないというのは僕も同じでしたし、それで教科書をぶん投げたくなる気持ちはわかります。
けれど、本当はどっちの教科もめちゃくちゃ面白いんです。
今回こんな記事を書いたのは、解剖生理も病理も理解出来たら本当に面白いんだよってことを皆さんに押し付けたいからです。
けれど、今の段階で苦手意識を持ってる皆さんに言っても「頭おかしいんちゃう、、」ってリアクションされるのが目に見えてるので、「これ見たらまじで変わるから!!!!」っていう作品を紹介していきたいと思います。
解剖生理学 おすすめアニメ
〈働く細胞〉

まずは数年前に話題になったアニメ、〈はたらく細胞〉です!
体内に存在する様々な細胞たちを擬人化した作品で、赤血球、好中球、血小板、キラーT細胞、マクロファージなど、解剖生理学を学ぶ上で基本となる細胞たちが何人(何種類)も登場し、体内で起こる様々な事件に立ち向かっていくというのんびり(8):シリアス(2)の超名作アニメ!!!!
この作品の面白い所は、身体レベルで見たらほんの些細な事、例えばちょっとした「切り傷」などが、細胞たち目線でみると大災害レベルでダイナミックに描かれていることです。
ちょっと血が出た程度でも細胞達にとっては大地震で地盤が沈下したくらいの衝撃で、「出血だぁぁぁぁ!!!!!!!!」とパニックに陥る描写などは普通に笑えます 笑
この作品を見ていると、
「細菌がいるところには”好中球さん”が行くのか~」
「ウイルス感染してしまった細胞は”キラーT先輩”がやっつけるのか~」
といった意外と覚えづらい点が自然と覚えられます。
まさに映像でそのままイメージできるんですよね。
「細胞」なんて大体どの教科書でも1章で紹介されるんですが、
ミクロな世界過ぎてイメージ出来ずに躓いちゃう学生さんがめちゃくちゃ多いです。
けどこの作品ではそのちっっっちゃな世界が面白おかしく描かれているので、
「解剖生理おもしろいやん!」って気持ちを作る上で、本気でおすすめできる作品です。
〈はたらく細胞〉はU-NEXTで視聴することが出来ます。
31日間は完全無料で全作品が見放題となっていて、
その期間内での解約であれば料金も発生しないので、
1ヶ月間の短期集中で解剖生理学への苦手意識を投げ捨てちゃいましょう!
病理学を学ぶ上でも役に立つな~と思うのは、細胞達に感情移入できるところです。
病理学なんて科目は解剖生理以上に難しい単語ばっかりで嫌いな学生さんがめちゃくちゃ多いと思うんですが、
「壊死した部分には好中球さん達がいっぱい居るのか、、、」
「溶血って、、ちょっと、、、赤血球ちゃん!!!」
「結核菌が来た!頑張ってマクロファージさん!!!」
と、アニメのキャラクター達を思い浮かべながら勉強してみたら、めっちゃはかどるだろうなーと思います 笑
解剖生理学 おすすめ書籍
〈のほほん解剖生理学〉
教員時代にめちゃくちゃお世話になりました、玉先生の
〈のほほん解剖生理学〉です。
玉先生の解剖生理学の魅力はなんといっても
ちょうど良いテキトー具合です 笑
解剖生理学を真面目に教えてくれる先生は数多くいますが、
それに対して玉先生は
・教え方
・例え
・覚え方
の全てがテキトーです。
それが良いんです。
きっちり完璧に覚えなきゃ、、、と最初から力が入ってる学生さんはストレスが溜まりやすいですし、最初からガチガチに本気で全部覚えようとしてたら3~4年間もある学生生活の途中でまず失速します。
なので個人的には、最初はおおまかな流れだけ覚えれば十分だと思ってます。
それをざっくりと、かつ面白く伝えてくれるのが玉先生!
細胞の覚え方や生理的な働きを、先生自身の面白エピソードで例えてくれるので、びっくりするくらいスッと内容が入ってきます。
また「語呂合わせ」で覚えるときも、玉先生の場合は笑っちゃうぐらい勢いだけの覚え方だったりして、それが逆に覚えられるんですよね笑
本当に解剖生理を楽しく伝える天才だなあと。リスペクトです。。
解剖生理をざっくり覚える上で、これ以上の本は無いんじゃないでしょうか。
病理学 おすすめ書籍
〈こわいものしらずの病理学講座〉
こちらは大阪大学医学部で病理学の講義を授業を担当されている仲野 徹先生の著書です。
病理学を苦手としている学生さんって本当に多いイメージですが、そういう学生さんにこそ読んでほしい1冊です。
実際、教員時代もこの本を沢山の学生さんに紹介してきましたし、「あれめっちゃ分かりやすいです!」って感想も結構もらえたので、自信を持っておすすめできます。
まずおすすめしたいポイントが、先生のフランクさです。
この本、病理学の本なのにめっちゃ話し言葉なんですよね。
大阪大学で教鞭をとっている先生ということで、いわゆる「重鎮」と言われる方だと思うんですが、この本では、そんな先生と思えないくらい「ゆる~い語り口調」で講義が進められていきます。
ウイルスとかアレルギーとかだと、よく聞く言葉なので、なんとなくどういうものかがわかります。けれど、適切な訳語がないためにカタカナのままにされていて、ちょっと聞いてもなんのこっちゃようわからん言葉もときどきあります。その例のひとつがアナフィラキシーです。
こわいもの知らずの病理学講義
終始こんな感じで進められていくので、内容はしっかり病理学なのに、スラスラ読み進めることができます。
病理学って科目がそもそも難しいので、こうやってフランクな口調で書かれているだけで読み手としては助かります。
次のおすすめポイントは、意味だけじゃなく、ちゃんと理由を教えてくれることです。
先ほどから言っている通り、病理学は解剖生理学以上にイメージしにくい言葉がバンバン登場します。
単語自体が難しいのにその解説も専門用語だったりするので、そりゃ嫌いになるわって感じですが、先生の説明は無駄に専門用語を使うことなく誰でも分かるように解説してくれるので、読み進めるごとに「そういう意味だったのか」と、理解する楽しさを与えてくれます。
例えば「化生」について教科書を見てみると、「組織が別の形の組織に置き換わること」といったことが書いてありますが、「なんで化生が起こるのか?」「化生するとどうなるのか?」といったことは全く書いてありません。
ですがこの本では、
「気管支の腺上皮はタバコの刺激に耐えるためにもっと強い重層扁平上皮に置き換わる」
「強い組織に置き換わったから良いという訳じゃなくて、腺上皮としての機能は失うから本来気管支に必要な粘液や線毛が減ってしまう」
というように、理由だけじゃなくそれによって起こる不具合などについても多角的に説明されているため、非常に理解しやすいです。
「なんでそうなるの?」ということを難しく説明してくれる本はありますが、
噛み砕いて説明してくれる本っていうのは意外と少ないので、
難しい単語が並ぶ病理学の勉強においては、本当におすすめできる一冊だと思っています。
まとめ
今回紹介した『はたらく細胞』『のほほん解剖生理学』『こわいものしらずの病理学講座』はどれも教員時代、学生さんに理解してもらうために何度も何度も参考にさせて頂いた作品です。
もちろん、最終的に国家試験を合格するためには今回紹介したものだけでは不十分です。
ですが!
本当は面白い解剖生理学・病理学に対して苦手意識を持っている学生さんが余りにも多すぎることが教員時代とても悲しかったので!!
まずは好きになってもらいたいと!!!
本当イメージ変わるから!!!!!
ってことで本気でおすすめできる作品たちを紹介させていただきました。
この記事で紹介させていただいた作品を見て、少しでも「楽しいやないか、、、もうちょっと、勉強してみっかな~~~~」という気持ちになってもらえたら嬉しいです!
いや、なります(確信)
ではこの辺で!